こんにちは。今回選手日記を担当させていただく梶原駿哉です。長い文章となりますが是非読んで頂けると幸いです。
思えば今まで順風満帆なサッカー人生だったのかもしれない。小、中では同級生のGKがおらずずっと試合に出させて貰える環境だった。
高校では毎年先輩後輩あわせて10人以上のGKがいる中で苦しい時期もあったが、2年の冬から正GKを任せていただいて試合に出続けることができた。毎週試合が楽しみだった。
大学に入学して2年間はカテゴリーは中々上に昇ることはできなかったが、与えていただいたカテゴリーで試合に沢山出場させて頂いた。不甲斐ないプレーが続いてもコーチが辛抱強く起用してくれ、2年次には全国大会に出場できた。
順風満帆だ。上手いこと行っていた。
“右手舟状骨骨折”
3年の夏、至近距離で飛んできたボール。咄嗟に出した手が持っていかれ骨折。もし両手を出せていれば、そんなシーンだった。
そこから半年間の離脱。その年は1試合の出場しか出来ず、チームも決勝で敗北し全国出場ならず。
もし俺だったら…そんな燻る思いばかりが募る半年間だった。
2024年1月。やっとピッチに戻ることが出来た。ラスト1年、意地でもTOPに這い上がってスターティングイレブンに名前を残す。そんな覚悟で始まったラストイヤー。
右手が、出ない。右手で触れるボールが怖い。頭が右手で止めることを拒否して体すら反応しなかった。
「俺じゃ止めれない、俺に打つな」
12年間GKをし続けて初めての感情。
今まで 追い続けて来た夢への熱が、一気に冷めていく感触がした。
私にはサッカーの才能はない。
運動神経も壊滅的に悪い。スキップできるのが奇跡位のレベルで悪い。
だから毎日1本でも多く止める、1cmでも遠くへ手を伸ばす、じゃあポジションはどうか、スタンスは広すぎないか。
才能が無い人間なりに考えながらやってきた。大学に入ってビルドアップも求められて、
「来たボールを前に蹴る」しか脳がなかった自分がボールを繋げるようになる。
自分の選択肢かが増えていくあの感覚。
失敗の数の方がもちろん多いが、毎日出来ることが増えていく自分に期待しかなくて、毎日心の底からサッカーを楽しめていた。
では果たして今はどうだろう。
痛みを言い訳に消極的なプレーしかしない、失点の多い4年GK。どんな人が指揮を執っていてもそんなGKにゴールは託したくない。
そんな現状は自分が1番分かっていたし、変えたかった。手の出し方も変えたし、セービングのタイミングも沢山試してみた。とにかくこの現状を破りたかった。
だけれど、不安と焦燥、一縷の希望とそれを覆ってあまりある絶望と、現実。そんなものしか残らなかった。
いつの間にか、サッカーを始めてからずっと目を輝かせ、胸を張って言えた
“プロサッカー選手になる”
この夢が、自分の口から出すことが出来なくなってしまった。
「TOPにも入れない選手だし」
「また折れちゃうとこれからの生活が」
「サッカーはいつでも出来る」
見つかる限りの言い訳を見つけて
自分の心の底から湧き出る気持ちに蓋をして
サッカーが無くても人並の幸せがあれば十分じゃないか。
そう自分に言い聞かせて行くうちに気力が無くなって。
仲間も応援できなくなって
選手どころか人として終わり始める音がして
もうそれでもいいかと思うところまで来た。
深夜に1本の電話が鳴って、大学で1番仲良くなった2人の友人が声をかけてくれた。
「お前はそれでいいの?」
2時間もの電話だった。物凄く話してくれて、すごく嬉しかった。
だけど、正直別に良かった。見切りがつき始めてきた時だったし、もう前までの自信満々の自分ではいられなくなっていたし。ゴールに立つ資格は無いと、自分で実感していた。
ただ、プレーは良くなくてももう前に戻れないとわかっていても、あの2人の言葉を聞いて体が動かないわけ無かった。
その翌日のTR。
漫画のように劇的に上手くいく訳もなく、失点は多いし右手は中々出ない。
そんな中、ゴール左隅上、所謂「神コース」にシュートが飛んできた。
何故かその時だけは頭が鮮明で
「1歩踏んで、この高さに左手」
思い通りに体が動く、枠外に弾く手とボールの感触、シューターの表情。
被せていた蓋が吹き飛んでしまった。
俺の居場所はここだと、まだここに立ちたいと思い出してしまって、まだまだサッカーがしたいと心の底から思っていた。
ぬるま湯をすぎ、常温に戻ろうとしてた気持ちに、沸き立たせてくれるきっかけをくれた大雅、慶翔には感謝しかないです。
ありがとう!!!
5月になった今でも、コンディションは中々上がっていない。もう前までの自分に自信を持ち、自分を信じている自分ではいられない。
だけど、苦しみ抜いて沢山の経験をしてきた今の自分を疑えない。
失敗もある。だけれど進む以外の選択肢のないこの気持ちにもう蓋はせず、
時期はあまりにも遅いかもしれなが残された時間を噛み締めて、駆け抜けて行こうと思う。
夢はきっと、持ち始めた気持ちの慣性のまま叶えられることはほとんどない。
多くの逆境、絶望、苦行
乗り越えるにはあまりに多くのものを失うと思う。
福岡という便利な地も相まって、やらない理由も沢山見つかる。
だけどもうやるしかないんだ。
ぬるま湯に気付けない人間は多分夢は叶わない。
けど俺達にはそのぬるま湯に気付かせてくれる仲間がいる。
自らの根底にある気持ちを沸かせ。
沸かし続けろ。
共に熱く、それぞれの夢を叶えに行こう。
最後に
高校からずっとGK、CBで組んできて同じ福岡大学に入学し、一緒にまたサッカーがしたかった。
今の環境だと、一緒にもう一度サッカーをすることは難しいのかもしれない。
だけど、皆のことが応援できない中でもずっと応援できた。
スタメンに名前があることがめちゃくちゃ嬉しかった。
沢山、本当に沢山色々あったけれど、ずっと応援してる。翼の活躍で、夢をまた見せてください。時間がある限り俺も諦めず追い続けます。
俺の頑張れる原動力はいつも翼の活躍です。
ラスト1年怪我なくお互い頑張ろう!
長く、拙い文章となりましたが最後まで読んで頂きありがとうございます。
これからも、福岡大学サッカー部への熱い応援、ご支援ををよろしくお願いいたします。
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