「旅立つ瞳に映るもの」
この度、選手日記を担当します。
福岡大学サッカー部4年の蔵元勇翔です。
簡単な自己紹介をしておくと、就活を行っていない4年生です。
内定をいただいているわけでも、家業を継ぐわけでも、サッカー選手として生きていくわけでもありません。
今年は選手をやりながら、部活内外で色んなことに挑戦しています。
私自身、人生の明確なビジョンがあり、そのビジョンの達成のために今年は就活ではなく他にやるべきことがあると判断しました。
そんな、ちょっと変わった?4年生です。
約2年前、1年生日記という企画で自分自身初めて、
「自分の思いを形にして、世に発信する。」
という経験をしました。あの時からはや2年。
福岡大学サッカー部という素晴らしい環境の中で沢山のことを経験し、思考をし、行動を続けてきた結果、今の自分があります。
改めてこの環境を選択して良かったと心から思います。
そんな福大サッカー部と何かしらの接点があり、今この日記を見てくださっているあなたに。
蔵元勇翔という人間、福岡大学サッカー部という環境に興味を持っていただけるように。
心を込めて書いていきます。最後までお付き合いいただけると幸いです。
「大学でも部活をするのは、今後の人生において危険です。」
素晴らしい環境だと言った矢先、急な批判的意見。
本当に同一人物が書いているのか疑ってしまうほど矛盾していると思います。
ただどちらも事実であり、私の本心です。
どういうことか。いくつか例を挙げてみましょう。
大学の延長線上にある”就職”という視点で切り取ると、現状新卒採用は全体的に早期化しています。
しかし、部活をしているとそもそも就活の情報に対しての感度も高くなく、長期インターンなどもってのほか。大学サッカーの強度に徐々に慣れ、ここからが勝負だという3年次に就活のことなど考えたくもありません。
また、留学やワーホリといった大学生ならではの経験もできません。
私の出身高校はサッカーの強豪校ではなく、大学でサッカー部に所属しているのは2人だけです。
高校のサッカー部の同期の半数近くが大学在学中に海外への留学を経験しています。
月並みな表現にはなってしまいますが、みんなそれぞれの異国の地で様々な経験をして価値観が大きく変わって日本へ帰ってきます。
夢が明確になった友達や、将来に対する考え方が大きく変わった友達と話すことで、異国の文化に触れることはやはり人生軸において大きな資産になるなと痛感します。
しかし、部活動を行いながら留学をするということは、簡単なことではありません。
「サッカーに本気で向き合っていない。」「辞めればいいのに。」
このような意見が飛び交うことは勿論、そもそも部活という組織に所属している以上、この意思決定は取りにくいと思います。
週に5日間2時間の練習、日曜日の試合。
週に1回の筋トレ、ミーティング、他のカテゴリーの応援。
部活動に拘束されるこれらの時間、全てをアルバイトに費やしていたならば。
1年間で約94万円。4年間で400万円弱が貯まります。
この400万円で様々な経験ができたはずです。
高校生まで部活を続けることと、大学で部活を続けることは大きく意味合いが異なります。
基本的に大学生になると自分でお金を稼ぎ、ある程度親に左右されずに意思決定を取ることができるからです。
その中で私たちは部活動を選択しています。
すなわち、大学生活を部活に費やしたことによる「機会損失」が確実に存在します。
「大学でも部活を続けているなんて尊敬する!」
「プロを輩出するような環境でサッカーしているなんて凄い!」
その言葉には、”サッカーしかやってきていない”という文脈が含まれています。
私たちはこの類の言葉をかけられて野放しに喜ぶのではなく、この言葉に含まれる背景を感じ取らなければなりません。
あなたが卒業後、憧れのユニフォームに袖を通す確証がないのであれば尚更。
さて、サッカー部部員がもしこの文章を読んでくれているのであれば、随分と耳の痛くなるようなことを述べてきました。
今まで部活で何を学んだかな。これから何を得ていけばいいのだろうか。
現状に一抹の不安を感じたのではないでしょうか。
そんなあなたに1つ質問です。
あなたが持っている1番価値の高いものは何でしょうか。
世の大富豪よりも、高年収サラリーマンよりもあなたが持っているもの。
部屋の隅々を見渡して探しても見つかりません。
これに”形”はありません。
答えは、”若さ”です。
若さをもう少し具体化すると、
死ぬまでに与えられた”時間の長さ”です。
人は時に、その若さに魅了され投資しようと思います。
近年、企業が新卒採用コストに1人あたり平均90万円にも及ぶ費用をかけているのも、
若さを持った私たちに魅力を感じているからです。
サッカーでも似た状況は存在します。
同じポジションで争っている4年生と1年生。
同じクオリティであれば1年生がスタメンに選ばれる。
多くの選手が一度は経験したことがあると思います。
2つの事象に共通するのは、今後の成長が見込めること。
それだけ”時間”に対する価値は計り知れないものがあるのです。
大学で部活をするのは危険だと言いました。
一方で、福岡大学サッカー部は素晴らしい環境であるとも言いました。
この2つの相反する意見の何が違うのか。
私なりの答えは、
「明確なビジョンや成し遂げたいことがあるのか。」
このマインドセットを持っているか否かです。
「サッカーをやってきたし、とりあえず。」「福大は強いから。」
このマインドで4年間を過ごすのはとても危険です。
なぜなら上で述べたように、
「部活をやっていなければ出来たこと」が大学生には無数に存在するからです。
ビジョンのない生き方を否定するつもりはありません。
先を見通す人生に面白みを感じない人もいるでしょう。
しかし、自明であることとして大学卒業後に学生という選択肢はありません。
何かしらの形で世の中に価値を与えることの対価としてお金をいただき、そのお金でできる範囲の生活をしていくのです。
どうでしょうか。
ビジョンなくこの未来に夢中になれるでしょうか。
待っている未来にサッカーをしている時の目の輝きはあるでしょうか。
長々と批判的な角度から意見を述べてきましたが、改めて言います。
福岡大学サッカー部は素晴らしい環境です。
訂正しましょう。
明確なビジョンや成し遂げたいことがある学生にとって、
福岡大学サッカー部は素晴らしい環境です。
毎年Jリーガーが輩出されるようにスポーツ競技としての高い基準があり、学業との両立も当たり前に求められ、部署活動を通して人材育成にも主体性を持って取り組む。
組織として、とても魅力的な環境です。
あなたの意識や行動次第で、何者にでもなれる環境は整っています。
随分と偉そうに語ってきましたが、私もまだ学生です。
なのでこの環境で色々なことに挑戦しています。
”若さ”の特権を最大限に行使しています。
残り1年間。
選手として、部員として、1人の大人として。
私の行動する姿を見て、
その行動の積み重ねによって形成された私の言葉で、
あなたが変わるきっかけになればこれ以上のことはありません。
いずれ訪れる門出の時。
部活に費やした4年間。
この環境で、この仲間だから得られたこと。
旅立つその瞳に映るものとは。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今年の福岡大学サッカー部の躍進にご期待ください。
今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。
蔵元 勇翔
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