監督コラム
「インカレ大会で法政大撃破も、”4.5強“終戦」
福大サッカー部内には、伝統的に「全国四強基準」という合言葉が存在する。
過去には、1998年,2009,2012年インカレ全国大会準優勝3回という旧国立競技場でのファイナリストの実績があるが、いつの時代においても”地方大学の雄“に甘んじることなく、常に全国大会の頂点に立つ事を究極の目標とし、常日頃から高いサッカー目線で練習や試合に取り組む姿勢や態度を合言葉で表現し、共有している。
全国四強レベルの意識、努力と実力なくして大学界の頂点を目指す事は不可能であり、関東でも関西でもない九州に位置する福大サッカー部にとっては、妥協出来ない永遠の不文律でもある。
今季は、総理杯全国大会の直前に、部内からのコロナ感染者が出て、急遽大会出場を辞退しました。更に8月下旬から3週間、外出禁止や完全部活動停止となり、シーズン半ばで苦しい時間を過ごしていました。
中断期以後体力面の強化が難しく、主軸の怪我人も多く、九州内のインカレ予選リーグや新人戦では、あと一歩のところで優勝を取り逃すという悔しくて歯がゆい一年でもありました。
しかし、今季最後の2021年インカレ大会は、「奪取速巧」のスローガン通りに、激しいプレス守備とカウンター攻撃、伝家の宝刀セットプレーを武器に、一回戦高松大を4-0で圧倒して、二回戦では夏の総理杯王者法政大学への挑戦権を掴んだ。
今回は、二年前にも法政大学と対戦した経験を活かして、ポジティブな姿勢を福大魂に込めて、前半ハイプレス守備からのカウンター攻撃を徹底した。内容もシュート数で同数の試合展開に持ち込み、後半勝負どころで、FW鶴野が右サイド阿部からのクロスを一撃で突き刺し1-0、激闘を劇的に制した。夏の総理杯王者をインカレで倒したのは、2018年の明治大戦以来2度目となる。大舞台での”福大伝説“がまたもや復活した。
続く阪南大学戦でも、前半ハイプレスから勢いよく先制点を挙げて先手を取ったが、直後にCKから同点とされた。しかし、後半戦や延長では内容的にシュート数、決定機の数でも阪南を上回った試合だっただけに、延長PK戦負けは、今でも悔しさがこみ上げて来る。
負け惜しみではなく、八強より、”4.5強”と表現したいくらいに、全国四強基準に接近していた。関東勢1〜3位流経、駒澤、明治大が四強に勝ち上がっていただけに、まさに福大が四強入りを成し遂げる絶好のチャンスだったと言える。
2020年度の特別大会アタリマエニ杯での東海大優勝、2021年度インカレ優勝駒澤大学の共通点は、チーム全員のハードワークによるハイプレス型DFと切り替え力、デュエル力、縦に速く背後を突くアタックが特徴的である。
インテンシテイの高いサッカーへ世界全体がシフトする現代で、大学サッカー界にもその潮流は確実に押し寄せている。だからこそ、福大サッカーの真価が問われるのは、いよいよ来季となる。
来季からの新チームは、スタメン3年以下8人がそのまま残ると考えると充分期待が持てる。今季より先の高い次元にチーム総合力を引き上げ、次年度元旦に新国立競技場でのインカレ決勝戦に挑戦する旅路が年明けから早々に始まる。
Jリーグ界でも、FC東京に福大OB3人衆、永井、木本、山下が移籍集結するなど、福大サッカーDNAは、活躍が評価され各自のカテゴリーで新たなる挑戦を続けている。また、J3の1〜3位熊本の河原、岩手の牟田、宮崎の代主将は、皆福大OB。粘り強く真摯に闘っている姿は誰の目にも頼もしく輝いています。
2021年、全国各地から福大サッカー部を熱心に応援して頂きまして誠にありがとうございました。
2022年、福大現役&OBたちの大活躍が益々楽しみである。 以上
監督 乾 真寛