サブキーパーとして生きた2年間
サブキーパー。
試合に出る確率が最も低い立場であり、最も準備しておくべき存在。
ゴールキーパーは、チームの中でたった一人しか出られないポジションで、それ故にチャンスが来る機会も少ない。一番手にならなければ試合に出て活躍することできない。出番がなかなか来ないのが大きな特徴でしょう。これを読んでいる方は僕が福岡大学のユニホームを着て試合に出ている姿を見た事が無いかもしれません。
僕の公式戦出場記録は、1年時、45分、2年時、90分 。ベンチ入りした時間、1440分
怪我をした時期にはセットプレーコーチという名でベンチにいることもありました。
サブキーパーの心情はとても難しい。
自分が試合に出たくて仕方がない、悔しい気持ち。
自分が一番準備しているのに出られない、どうしようもない気持ち。
一番手を支えたい、頑張ってほしいと思う気持ち。
考えだすといくらでも湧き出る混沌とした感情。
サブキーパーは試合に出られないことを受け入れた時、選手として終わります。
しかし、試合ではそんな感情は邪心となります。
チームとして戦うために自分ができることは、
試合に出ているゴールキーパーを全力でサポートすること。
ベンチから誰よりも声を出し、選手を鼓舞すること。
何よりも現状を把握し、割り切り、自分の役割を全うすることが大切です。
準備する、出れない、また準備する、
これを繰り返しているからこそ自分が試合に出れた時の快感は計り知れません。
「自分は試合に出られないのだ」と受け入れてはいけない、分かっているけれど、もうこのままでもいいかな。
そんな葛藤がずっと続いていた昨年の11月、ある練習試合で90分間フル出場することが出来た。
練習試合ではあったがおよそ1ヶ月半ぶりのフル出場だった。
感極まって涙が出そうだった。
結果は負けてしまったが、僕の中では「サッカー楽しい!」「もっと上手くなりたい!」と思えた試合だった。
僕は、小、中、高とサッカーを続けてきてずっとスタメンとして試合に出ていました。
自分が試合に出られることが当たり前だと思っていました。
しかし、僕が試合に出れていた裏には、サブキーパーの支えがあったからこそ安心して試合に集中することが出来ていたのだと知りました。
サブキーパーがどんな思いで自分を送り出してくれていたのか、今ではよくわかります。
ゴールキーパーはチームで一人しか出ることができません、それが故に孤独です。
そんなゴールキーパーの気持ちを理解して寄り添うことができるのは他の誰でもなく、サブキーパーしかいません。
大学までサッカーを続けて本当に良かったと思っています。
スタメンの立場からだけでなくベンチからの目線で試合を見ることができ、コーチが求めているものも理解しやすくなりました。
他にも、試合に出られない選手がどのような立ち振る舞いをするのか、マネージャーや学生スタッフが一つの試合にどれだけの時間を割いているか、など。それらを見ると今まで意識しなければ言えなかった感謝の言葉も自然と出るようになりました。
僕は、この2年間でたくさんの感情と向き合えたように思います。
その上で今は、純粋にサッカーがもっと上手くなりたいと思っています。
今年で大学3年目を迎えます、後輩たちは増えても、誰よりもフレッシュにいつまでも成長する姿で日々精進していきたいと思います。
福岡大学サッカー部 2年GK 橋口欧介
最後までお読みいただきありがとうございました。
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